4ナンバー車バン・トラックのインチアップタイヤで車検に不合格した車

4ナンバー車インチアップ

4ナンバー軽商用バンの車検が持ち込まれましたが、受付で車検を受けることが出来ませんでした。

「軽商用車でインチアップの乗用車用タイヤでは車検を受けることが出来ません」

タイヤの負荷能力が検査基準に満たないので車検を受けることが出来ないのです。

車のユーザー様は前回他のお店ではこのタイヤで車検を受けておられたそうなのですが、なぜ今回は車検を受付けてもらえなかったのでしょうか。

4ナンバー軽商用車や小型商用車タイヤのインチアップについて、車検対応とはどのような事なのかを簡単にご紹介しようと思います。

 

軽商用車タイヤをインチアップすると車検に合格できない

 

お店に車検で持ち込まれた軽商用バンなのですが、受付の時に「この状態では車検が通せません」。

「4ナンバー車でこのタイヤは車検非対応になります」と言う事でこのお客様のクルマは車検を受付することが出来ませんでした。

ユーザー様

この車は車検が通らないのですか?

前回は他の店でしたが車検を通してもらったのですが・・・

検査員

軽自動車の商用車(4ナンバー)はこのタイヤでは車検は合格できないのです。

インチアップされた乗用車タイヤを使用されているので、検査基準に適合しないのです。

ユーザー様

2年前の車検ではこの状態で車検をしてもらったのですがダメなのですか?

検査員

軽商用車は荷物を最大で350Kg積むことが出来るように設計されています。

それに耐えれるように十分な負荷能力のあるタイヤを使用しなくてはいけないのです。

乗用車用タイヤでは負荷能力が低いので車検基準に達する事が出来ないのです。

前回車検を受けられたお店ではこの事を知っていて黙って車検を合格させていたのでしょう。本来はダメなのですよ。

ユーザー様

そうなのですか。車検は受けたいので純正タイヤを購入する事にします。

 

なぜ車検が受けられなかったのか?

今回の場合は、軽商用車でタイヤを14インチのタイヤに変更していて、タイヤの負荷能力が低いため車検を通すことが出来ませんでした。

通常この車両のタイヤサイズは、145/80R12 80/78Nを使用する事を純正指定されています。

しかしユーザー様の乗っておられた車のタイヤは、165/55R14 72Vを使用されていました。

タイヤの外径の大きさは同じくらいなのでスピードメーターの狂いはありませんが、タイヤ自体の強度(負荷能力)が低くなっているので検査基準に達しなかったという事です。

 

タイヤの負荷能力が足りないとはどういうこと?

タイヤの負荷能力とは何なのでしょうか。

タイヤの負荷能力を数字に表しているのが荷重指数と言います。

「荷重指数とは、規定の条件下で1本のタイヤが支えることのできる
最大荷重(負荷)を表す指数になります。」

荷重指数は、「ロードインデックス」と言います。

ロードインデックスはタイヤサイズに記載されています。

タイヤサイズ 145/80R12 80/78N 

       165/55R14 72V

この  部分がロードインデックスです。

皆様もタイヤサイズについて知っている方もおられるかも知れませんが、ロードインデックスがタイヤの持っている負荷能力を数値で表したものになります。

そのロードインデックスの指数がタイヤ1本で支えられる最大負荷荷重になり、「その1本のタイヤが耐えられる最大の重さは何Kgです」と言う事になります。

簡単に言いますと、「そのタイヤのロードインデックスは何Kgまで耐えられます」と言う事です。

今回の軽商用車のタイヤのロードインデックスはどうだったのでしょうか。

次の表で解りやすく比較しています。

  145/80R12 80/78N 165/55R14 72V
タイヤ外径 537mm 538mm
ロードインデックス 80 72
負荷荷重 450Kg 355Kg
ホイール径 12インチ 14インチ

見て頂いてわかるように、12インチのタイヤの方が負荷能力が高いタイヤと言えます。

純正指定が145/80R12 80/78Nであれば、その負荷荷重以上のタイヤを使用しなくてはいけません。

負荷荷重が足らないと検査基準に達しないという事になり、車検に合格しません。

タイヤサイズの表記については、BRIDGESTONEタイヤで「タイヤサイズについて」をご参照ください。

 

 

人気のハイエースバンでのインチアップタイヤはOK?

今までは軽商用車のタイヤについて記入してきましたが、小型貨物や普通貨物車のインチアップタイヤはどうでしょうか?

例えば、小型貨物車で人気のハイエースバンではどうでしょう?

仕事で使用されているバンですが、ドレスアップや見た目を変えたいという人が多く、通常15インチのタイヤをインチアップしてカッコいいアルミホイールを装着しているバンをよく見かけると思います。

このインチアップタイヤは検査基準に達しているのでしょうか。

調べてみましたのでご覧ください。

 ハイエースバン スーパーGL

純正タイヤサイズ 195/80R15 107/105N

 純正15インチを17インチにインチアップした場合

  195/80R15 107/105N 215/60R17C 109/107S
タイヤ外径 693mm 690mm
ロードインデックス 107 109
負荷荷重 975Kg 1030Kg
ホイール径 15インチ 17インチ

17インチにインチアップであれば問題なく使用できるタイヤとなります。

 

 18インチにインチアップした場合

  195/80R15 107/105N 225/50R18C 107/105H
タイヤ外径 693mm 683mm
ロードインデックス 107 107
負荷荷重 975Kg 975Kg
ホイール径 15インチ 18インチ

18インチにインチアップした場合、ロードインデックスは107で負荷能力がありますが、タイヤ外径が10mm小さくなります。

外径10mm程度ならスピードメーターの誤差の範囲内に収まると思いますが、実際の速度よりメーターが示す速度は少し高くなります。

速度計が検査基準に入れば車検に通ると思います。

 

因みに19インチのサイズだと、225/35R19 88W となります。ロードインデックスが88なので負荷能力は560Kgしかありませんので車検では不適合となります。

19インチ以上は国産メーカーのタイヤカタログを探してみましたが、使用できるサイズはありませんでした。

ボディーからはみ出しても良いのであれば外径を合わすことはできますが、整備不良車になってしまいます。

ハイエースバン用タイヤで、19インチ以上を装着しようとすると国産メーカーのタイヤではサイズは無いと思います。

海外メーカーのタイヤであれば外径サイズを合わすサイズがありますが、ロードインデックスを満たしているかは解りません。

19インチ以上のタイヤを装着しようと思うと、検査基準に達するタイヤは多分無いのではないかと思います。

 

 

負荷能力の低いタイヤを使用している商用車バンは、整備不良車となりますので気を付けてください。

「違反タイヤでも車検の時にノーマルに戻せばいいじゃないですか」

このように考えている方もいるかも知れませんが、何かあった時に整備不良と判れば良いことは無いと思いますのでやめた方が良いと思います。

 

4ナンバー商用車に使用できるインチアップタイヤの購入は、サイズやロードインデックスをよく見て選んでください。

軽自動車でも商用車タイヤでインチアップ出来る銘柄もあるのでこちらでチェックしてみて下さい。

 

負荷能力の低い乗用車タイヤの使用は走行に支障が出る

 

今まではタイヤの負荷能力について記入してきましたが、純正指定より負荷能力の低いタイヤ(インチアップタイヤ)を使用していた場合、走行中に何か支障が出る場合があります。

どの様な支障が出るのでしょうか?

例えば、最大積載量350Kg積みの軽商用車で積載を目一杯積んだ場合、タイヤにかかる負担はとても大きくなります。

ブレーキング時やカーブなどではタイヤにかかる荷重は停車時より大きくなるのはわかりますよね。

急カーブなどを走行した時などは特にタイヤに負荷が多くかかっています。

タイヤが変摩耗したり、大きなよじれを起こして最悪バーストしたりするかもしれません。

タイヤの空気圧が低ければなおさらトラブルは多くなってきます。

そして、扁平率の低いインチアップタイヤでは乗り心地も悪くなり、路面からの振動を伝えやすくなってゴツゴツ感が大きくなりロードノイズも大きくなります。

扁平率の低いタイヤは空気圧が低くても、見た目で空気が減っているように見えないので気付きにくいと思います。

扁平率の低いタイヤで、空気圧が規定値より大きく下回っている場合は非常に危険です。

段差などを乗り越える時にタイヤが裂けてバーストしたり、カーブなどでタイヤがよじれてホイールから最悪外れてしまう事もありますので、扁平率の低いタイヤを使用される時には空気圧に気を付けてください。

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4ナンバー商用車インチアップタイヤのまとめ

 

今回は「4ナンバー軽商用車のインチアップタイヤでの車検が受けられない」という事例をご紹介しました。

今現在でも軽商用車で、14インチや15インチのタイヤを使用されている方を多く見受けます。

車検不適合と言う事を知っていて使用されているのであればいいのですが、知らずに乗っていて「違法改造車です」と知った時にどう思うでしょうか。

そして負荷荷重に耐える事の出来ないタイヤを使用していると言う事を知っておいてください。

何かあってからでは遅いのです。

安全に走行できるように、サイズを守って使用して頂く事をお勧めします。

 

 

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2件のコメント

軽商用車タイヤをインチアップすると車検に合格できない、の記述に
「因みに、この軽商用バンのタイヤサイズをインチアップして検査基準を満たすタイヤは、ほぼ無いと思ってください。

国産メーカーの軽自動車タイヤサイズで14インチタイヤを探してみましたが、ロードインデックス80以上のタイヤは存在しませんでした。(2022年5月現在)」
・・・と、記載がありますが、ヨコハマタイヤよりPARADA PA03 165/55R14C 95/93N が存在します。
ダイハツ ハイゼットトラックにて、2インチアップで、陸運局持込車検で合格しております。

コメント頂きましてありがとうございました。
2020年6月にヨコハマタイヤから165/55R14 95/93Nのサイズが追加発売されていた様でした。
勉強不足でした。
ご指摘いただきましてありがとうございました。
間違った文章は削除しておきました。
このブログの更新はなかなか出来ていませんが、また機会があれば更新していこうと思っておりますので、機会があればまた見に来てください。
ありがとうございました。

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フレディ
40代のおっとり自動車セールスマンです。 自動車業界ではそれなりに一通り経験してきており、整備から販売までさせて頂いております。 整備士の資格や自動車査定士の資格もあり、中古車などの情報も得意分野であります。

自動車に関する私の知識や、お得な情報・損をしないカーライフなどを皆様にお伝えできればと思いこのブログを書いています。 皆様も知っている情報が多いかと思いますが、見て頂いた方に喜んで頂けるサイトを目指しています。

サラリーマンであり雇われの身でもありますので、実名での掲載はしていませんが、その方が皆様に有益な内容が書けるし業界上のきわどい内容も書いて行けるのではないかと思っております。

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