ガソリンが高騰する中、少しでも燃費を稼ぎたいですよね。
エコ運転・低燃費走行をして燃料の消費量を抑えて、エンジン回転も抑えて低回転高負荷で走行される方も多くおられるのではないでしょうか。
エコ運転のやり過ぎはエンジン不調になるかも知れませんよ!
エコ運転やチョイ乗り運転を多用される方は、エンジンの調子が悪くなる事もあるのです。
燃費を稼ごうとエコ運転ばかりをされていた車両で、走行中にエンジンストール(エンスト)が起こりました。
今回は、突然エンジンの出力が弱くなりエンジンストールしてしまった車両は、何故止まってしまったのかと言う事を書いてみました。
低回転高負荷での運転はエンジン不調になりやすい
最近のクルマは低燃費のためにエンジン回転を抑えて走行し、燃料消費を少なくする車両が多くあります。
そんな低燃費車両で、さらに燃費を稼ごうとシビアに運転される方もおられるようですが、あまりやり過ぎない方が良いかもしれません。
エコ運転のやり過ぎはエンジンに低回転で高負荷がかかっているのです。
低回転で稀薄燃料、スロットルを絞っているので燃焼温度も低くなって、ガソリンエンジンには良くない事が起こる可能性があるのです。
燃焼温度が低いという事はエンジン内部にカーボン(煤)や未燃焼オイル等が付着しやすいということになります。
そしてそのカーボンの付着が多くなると機械部品の動きが悪くなったり、燃焼効率が悪くなったり、異常燃焼を起こしたり失火などを起こしてしまう可能性があります。
このように汚れが付着したエンジン部品は、異常が起こりエンジン不調になって走行に不具合が出る場合があります。
お客様から連絡が入り、走行中にエンストしてしまったとの事でした。
早速お客様から連絡を受けて調子の悪いクルマを見ることになりました。
お客様Aさんは、「クルマの調子が悪いんです一度見てもらえますか?」
「先ほど走行中にエンジンの調子が悪くなってエンストしてしまったのです。」
「エンジン再始動して走行はできましたが、その時はそれだけで済んだのですが不安なので見てください。」
このような訴えでありました。
早速お車をお預かりして調べてみることになりました。
エコ運転を続けていたらエンストしてしまった車両
走行中にエンストしてしまった車両の診断です。
まずはコンピューターで車両を診断して、不具合の履歴が残っており何が起こったのかが解りました。
不具合の内容は、エンジン4気筒のうち2番・3番シリンダーで失火が起こったことでした。
専門用語などを入れての説明は難しい事もあるので、詳しくは書かずに簡単に説明できるように書いていきます。
この車のエンジンは、1500ccで4気筒の直噴ガソリンエンジンです。
中央部分の2番・3番のシリンダーで失火が起こりエンジン回転のバランスが悪くなってエンストを起こしてしまったという事です。
エンジン不調の原因は、エアー吸入側のインレットバルブに付着した汚れでバルブの動きが悪くなり、圧縮漏れを起こしてシリンダー内で爆発が起こらず失火してしまったという事です。
色付けした部分がインレットバルブです。
エンストの原因となったインレットバルブ
写真では解りにくいかも知れませんが、インレットバルブのステム(棒の部分)が綺麗なところとカーボン等で汚れた部分がわかるでしょうか。
この汚れが原因で動きが悪くなり閉じることが出来なくて圧縮漏れになったという事です。
バルブを開いた状態です。
かなり汚れていますよね。
インレットバルブ洗浄できれいになった
見て頂いたように汚れで動きが悪くなったバルブや、インテークマニホールドなどを綺麗にしていきます。
本来はエンジンのヘッドを分解してバルブを新品に交換するのですが、お客様の予算の関係で洗浄をして様子を見る事にしました。
洗浄方法はお見せ出来ませんが次のようにある程度は綺麗にすることが出来ました。
外したついでにこの後スロットルもきれいにしておきました。
長く使用しているとスロットルにもカーボンが付着して不具合が出る可能性もあるので綺麗にしておきました。
今回なぜこの車はこの様になったのかの原因は、お客様の過剰なエコ運転だけではなかったのですが、エンジンの構造にもカーボンが付着しやすい要素がありました。
そしてこのエンジンは燃料を直接シリンダー内に噴霧するタイプの直噴エンジンです。
普通のガソリンエンジンはインテークマニホールド内(吸入空気が入るインレットバルブ直前)で燃料を噴霧します。
インレットバルブ等にも燃料がふりかかる事になりますので、ある程度バルブは汚れにくくなります。
そして、ガソリンエンジンでは高回転や低回転でもブローバイガスが発生します。
そのブローバイガスがシリンダー内に吸入されて再燃焼されるのですが、この車両では2番・3番シリンダー付近に集中して戻ってしまう構造になっていた事が原因の一つでもあります。
ブローバイガスとは、エンジンのシリンダー内から吹き抜けた未燃焼ガスのことで、エンジン内部に溜まらないように、エアーの吸入側から再燃焼させるガスの事です。
このガスには未燃焼の燃料だけではなく、エンジンオイルの揮発したものも混じっています。
ブローバイガスはエンジンの燃焼温度が低かったり、低回転で高負荷をかけている時に多く発生します。
なので、低燃費走行やエコ運転をやり過ぎるとこのような事が起こる可能性があるのです。
どんな車両でも起こる事ではないのですが、エンジンの種類によってはカーボンが溜まりやすいタイプもあるという事なのです。
今回とは別のエンジンですが、オイル管理が悪くてエンジンオイルをシリンダー内で燃焼させていたピストンです。
エンジンオイルが少しずつシリンダー内に入り一緒に燃焼される事で、ピストンやヘッドにカーボン等の汚れが付着したピストンの画像です。
このように汚れてしまいます。これは余談でしたが。
エンジン内のカーボン付着予防は?
今回のエンジンストールで起こった原因は、エコ運転をやり過ぎた事だけではなくエンジンの構造にも不調になりやすい構造であったことがわかりました。
今回の車両でも、たまにはエンジンの回転を高く回して燃焼温度を上げてエンジンに高負荷をかけずに走行されていればこのような事が起こらなかったのではないかと思います。
普通に走行するようにして、加速する時はエンジン回転を上げて走行すればカーボンなどの付着も少なくなると思います。
余談ですが、エンジンを高回転で走行される飛ばし屋さんのエンジンは気持ちよく回るエンジンに育っていると思いますよ。なぜなら燃焼温度が高いので汚れが付着しにくいのです。
ではどうすればエンジン内部を汚れにくくできるのか。
次のような事をされることをお勧めします。
●エンジンオイルを定期的に交換する。
●エアクリーナを定期的に交換する。
●粗悪ガソリンは使用しない。
車両によっては多少の違いはあるかも知れませんが、加速レスポンスの悪いエンジンは、時々エンジンを高回転まで動かして(ぶん回して)やることで調子よくなることもありますよ。
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まとめ
今回はエコ運転をやり過ぎてエンジンストールしてしまった車両の内容を書きましたが、エコ運転やチョイ乗り運転だけが不調の原因ではなかったという事でした。
エンジンの構造によっては乗り方次第で不調になったり、燃費が悪くなったりする事がありのです。
ガソリンエンジンは適度に回転を上げて走行することで、調子よく動かすことが出来ると思います。
低燃費を求めてエコ運転だけで走行するのではなく、たまには高回転まで回される事をお勧めします。
そして日ごろのメンテナンスも怠らないようにしてください。
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Photo: フレディ(ブログ運営者)
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