透明フィルムでもフロントガラスに貼ると検査不合格になる?

フロントガラスにフィルム春と検査不合格?

フロントガラスでも透明フィルムなら大丈夫だろうと思っている人、最近のクルマでは車検に合格できない場合が多くあります。

先日、私が陸運支局で構造変更登録に行っていた時の事です。

輸入車で車検の検査をされていて、運転席にフィルムを貼っている車両が検査員の測定後に検査不合格になっていました。

「運転席にフィルムを貼ったらダメでしょう」と思っていましたが、

フィルムを見てみると無色透明のフィルムでした。

その人は検査場の端で、自分で剥がして再検査されていました。

透明フィルムでもガラスの透過率が規定値を外れると検査は通らないのです。

可視光線透過率に優れた透明フィルムでも、検査に合格出来る車両とできない車両があるのです。

なぜこのような事があるのでしょうか?

これから簡単にご紹介しようと思います。

 

 

前面ガラスにフィルム貼っていると車検に合格しない?

 

通常フロントガラスや運転席・助手席のガラスにフィルムを貼ったりすると違反じゃないの?

と思ったりしますよね。

実際にはフィルムを貼る事は違反ではありません。

ガラスの透過率(透明度)が70%以上あれば整備不良にはなりません。

車検の検査でも合格します。

 

透過率70%以上を確保した状態の車両でも、前面ガラスにフィルムが貼ってあると、カーディーラーや自動車販売店で車検を依頼した時に断られる場合があります。

何故なんでしょう?

「フロントガラスにフィルムが貼ってあるので当店では検査は受けられません」

と言う事を検査員から言われるお店もあるのではないでしょうか。

「当店では透過率を測定する装置を設備しておりませんので車検を受ける事は出来ません」

 

そうなのです。

そのお店の検査設備によって車検が出来ない場合があるのです。

私の思う所では、ガラスの透過率を測定する機器を持っている指定整備工場は少ないと思います。

もし前面ガラスにフィルムの貼ってる車両に乗っておられる方は、事前に自動車店に相談してから車検に行かれることをお勧めします。

ガラスの透過率を測定して、基準内であれば車検は合格しますのでご心配なく。

 

 

自動車ガラスの透過率とは

 

先ほどからガラスの「透過率」という文字が出てきますが、正確には「可視光線透過率」の事を言っています。

可視光線透過率とはどういう事なんでしょう?

「可視光線透過率」とは、赤外線から紫外線などの中で人間が目で見ることの出来る可視光線の事で、その光がガラスやフィルムをどれだけ通すかという値になります。

その可視光線を通す値を測定するのが、可視光線透過率測定器という機器です。

この測定器で計測して数値が低いほど可視光線(目に見える光)を通しにくいという事になるのです。

簡単に言いますと、可視光線を通しにくいガラスでは夜間などの光が見えにくくなるので視界が悪くなるという事です。

夜間に濃いサングラスをかけて車を運転するような事ですね。

 

「可視光線透過率測定器」ってどんな機器なの?

可視光線透過率測定器(ティントメーターとも言います)は、ガラスやフィルムを通す可視光線を測定する機械になります。

ガラスにフィルムなどを貼った場合に、実際の透過率を簡単に測定することが出来ます。

このガラスは〇〇%可視光線を通すことが出来ますよって感じです。

 

様々な種類の機器が販売されているようですが、透過率の測定数値は機種によって多少のばらつきがあるらしいという事を噂で聞いたことがあります。

各地の陸運支局によっても計測機器の種類が違えば多少の誤差があるようです。これは余談ですが・・・

 

これはフィルムの貼っていない運転席ガラスの状態です。

ガラス自体が透明でない事がわかるでしょうか。

このガラスはスーパーUVカット・IRカットになってるので多少色付きになっています。

可視光線透過率は、73%です。(メーカーHP参照)

 

 

こちらはリアスライドドアのガラスです。

スーパーUVカット・IRカットのプライバシーガラス

運転席ガラスより色が濃いのがわかると思います。

このガラスの可視光線透過率は、17%です。

この車両の運転席にフィルムを貼ろうと思うと、いくら透明のフィルムでも透過率を3%以内に抑える事は難しいと思います。

可視光線透過率の70%以上はクリアできないでしょう。

 

自分のクルマにフィルムを貼ろうと考えている方は、よく考えて施工するようにしてください。

フィルム施工店などにガラスフィルムを依頼する時は、透過率の事も相談されてみる事をお勧めします。

特に前面ガラスに施工される場合は、正確な測定器を使用されている施工店でフィルム施工してくださいね。

車検の検査の時に規定値を超えていると、車検は不適合になってしまったりするので、信用のおける施工店で実施されることをお勧めします。

 

 

IRカットガラスにはフィルムは貼ってはダメ!

最近の車種ではIRカット(赤外線カット)ガラスが主流になってきています。

フロントドアガラスやサイドガラスなどの前面ガラスには熱遮断処理が施されているのです。

これはガラスの内側(室内側)のガラス表面に非常に薄い膜で表面処理されたものになります。

IRカットガラスにフィルムを貼る事は出来ますが、剥がそうとすると表面処理された膜まで剥がれてしまう可能性があります。

熱遮断ガラスに、さらに熱遮断フィルムを貼りたいという人が中にはあるかも知れませんが、やめておいた方が良いと思います。

もし剥がさないといけない事になって剥がす場合、表面処理も一緒に剥がれてしまい汚い事になるかもしれませんよ。

そしてIRカットガラスにはスクレーパーのどの刃物で削り取るのもNGです。

 

最近のIR(赤外線)カットガラスは優秀で、夏場の車内温度の上昇を抑えてくれています。

古い車両では夏の日中にクルマを運転しようとハンドルを握った時に熱くて触れなかった事ってなかったですか?

今のクルマでは真夏に乗る時にハンドルは熱くないですよね。

熱遮断ガラスが真夏の太陽光を抑えてくれているからなのです。

 

ではどのくらい優秀なガラスなのかを次の表で参考にしてみてください。

 

 

ガラス部位の透過率はそれぞれ違う

 

様々な光や熱を遮るガラスですが、どのような光を遮っているのか簡単に記入しました。

まずは皆さんご存知のUVカット(紫外線)ですね。

紫外線カットはほとんどのUVカットガラスで90%以上達しています。

 

そして、IRカット(赤外線)です。

赤外線でも遠赤外線・中赤外線・近赤外線と波長が違います。

人間が太陽光でジリジリと暑さを感じるのが中赤外線になります。

その中赤外線を主にカットしています。

 

では実際に今販売されている車で、どの位の透過率やカット率になっているか表にまとめましたのでご覧ください。

※2021年現在に販売されている車種でメーカーの発表している数値を参考に記載いたしまた。

 

国産車3ナンバーのミニバンでの一例です

部位 ガラスの種類 可視光線透過率 紫外線 カット率 赤外線 カット率
フロントガラス 遮音・IR・UV 約77% 約99% 約75%
フロントコーナー 高熱線吸収・UV 約73% 約90% 約67%
フロントドア 遮音・IR・スーパーUV 約76% 約99% 約77%
リアドア 遮音・高熱線吸収・UVカットプライバシー 約20% 約99% 約79%
リアクオーター 高熱線吸収・UVカットプライバシー 約20% 約99% 約79%
リアウインドウ 約18% 約95% 約79%

 

 

軽自動車 4ナンバー商用バンでの一例です

部位 ガラスの種類 可視光線透過率 紫外線 カット率 赤外線 カット率
フロントガラス UVカット 約80% 約99% 約59%
フロントドア 高熱線吸収・UV 約74% 約89% 約64%
リアスライドドア プライバシー 約29% 約95% 約77%
リアクオーター 約31% 約94% 約75%
リアウインドウ 約31% 約91% 約65%

 

表を見て頂いてわかるように、UVカットはほとんどのガラスで90%以上となっています。

IRカットの前面ガラスでも、リアのプライバシーガラスに近いカット率となってます。

そしてフロントドアガラスでは74%の可視光線透過率になっています。

このガラスにフィルムを貼るのは、規定値の70%を下回る可能性がありますので難しいのではないでしょうか。

 

ファッション性でハーフミラータイプのようなフィルムを前面ガラスに貼られている車を見かけます。

果たして規定値をクリアできているかどうかは疑問なのですが、最近のクルマで前面ガラスにフィルムを貼る場合は測定器で測ってから施工される事をお勧めします。

 

 

まとめ

 

現在発売されている新車では、ほとんどの車両がIRカットや高熱線吸収ガラスになっています。

IRカットガラスにフィルムを貼ってしまうと剥がす時に困難になります。

前面ガラスにフィルムを施工しようと考えている方は、可視光線透過率の事もよく考慮して施工されるようにしてください。

透明フィルムでも使用できる車両と出来ない車両があるので、フィルム施工店でよく相談されることをお勧めします。

車検の時に不適合で剥がすことにならないようにしてくださいね。

 

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