自分でタイヤ交換した時のナット締付トルクは大丈夫?

ホイールナットの締め付けトルクは大丈夫?

自分でタイヤの付け替えをしたことはありますか?
交換をした際に締め付けたホイールナット(ホイールボルト)を強く締め過ぎていると、ハブボルトが伸びてしまったり、折れてしまう事もありますよ!

スタッドレスタイヤからノーマルタイヤへの付替えや、パンク修理などで応急用タイヤへの付替えをされた時にホイールナットを締め付けるのですが、規定値で締め付けないとボルト・ナットを壊してしまったり、緩んでしまったりするので適正値で締付をしないといけません。

 

タイヤ交換でのトラブル

年に数件くらいあるのですが、お客様が自分でタイヤ交換しようとしてホイールナットが緩まないと言ってお車を持って来られることがあります。
話を聞くと、前回に自分で交換して締め付けたそうです。

お客様
「前回交換した時に強く締め過ぎたのかわからないが、ホイールナットが緩まないんです」

スタッフ
「どうやって締め付けましたか?」

お客様
「車載工具しかなかったので、工具をナットにかけて足で乗って締めました」
「手で絞めると手が痛くて、強く締めることが出来なかったので・・・」

スタッフ
「足で工具に体重をかけて締め付けたのですね。その方法だと相当強く締まっていますね。」
「ナットの締め過ぎの場合はボルトが伸びていたり、曲がってしまったりする場合があるので外して点検しておきましょう・・・」

 

この方の車は、ホイールナットの締め過ぎによりボルトが伸びていました。
ハブボルトとナットの交換で約15,000円の出費となりました。

ちょっとした知識不足で大きな出費となってしまう事もあるので、正しいやり方と注意点を覚えておく方が良いと思います。

ではどうやって自分でタイヤ交換をするのか。

自分で交換する事を前提に、車載工具を使用しての交換方法をご紹介したいと思います。

 

自分でタイヤ交換する方法

タイヤ交換をしたことがある方も、一度もやったことが無い方も覚えておいて損はないはずです。

外出先でパンクしてしまった時や、冬用タイヤに付け替える時など様々なシチュエーションがありますが基本的な方法をお伝えしようと思います。

タイヤ交換はこのようにするのです。
という事を画像を入れながらご紹介していきます。

今回は特殊な道具を使わずに、車に搭載されているジャッキや工具を使用します。

解りやすように軽自動車を使用しました。
車両の中にあるジャッキ(一般的なパンタグラフタイプ)を使用しました。

もしあれば使っていただきたいのが、輪留めです。
車が動いてしまわないようにする為です。
無ければサイドブレーキをシッカリかけておいてください。

 


まず初めに、ジャッキで車体を持ち上げる前に必ずしておかないといけない事があります。
写真のようにジャッキを車体に当てていますが、持ち上げてはいません。
この状態からホイールナットレンチを使ってナットを緩めます。

この時の注意点として、緩める方向に(左回転)約90度回します。
ナットが緩んだことが解ればそれ以上は回さないでください。
この時点ではハブボルトに車重がかかっていますので、緩めすぎるとボルトに負担がかかり曲がってしまう場合があります。

 


全てのナットを緩めたらジャッキで車体を上げていきます。
タイヤが地面から約5㎝浮くまで持ち上げます。

そしてナットを回して取り、タイヤを付け替えます。

 

タイヤを取付けたらホイールナットを手で回して締めていきます。

必ず最初は手で2~3回転は回して締め付けてください。
最初からレンチを使って回してしまうと、斜めに入っていたりしてネジ部分が破損してしまう恐れがあります。

手でナットを締めたらジャッキを下す前に、軽くレンチを使用して締め付けます。
この時の強さは片手でレンチを回して止まるところまで締めます。

そしてジャッキを下して車体からジャッキを取ります。
その後にホイールナットをシッカリと締め付けます。

車載工具のホイールナットレンチを使用する場合は、両手を使って締め付けます。
左手は工具の左端(ナットの位置)を持って、右手はレンチの右端を持ちます。
左手を支点にして右手で右回転に力を入れて締めてください。
力が有り余っている強靭な方は抑え気味に(笑)

これが車載工具を使用しての基本です。

 

タイヤ交換する時の注意点と知識

これからタイヤ交換についての注意点や、知っておいてほしい事を書きます。

皆様は車のボディの何処にジャッキを掛けて、持ち上げればいいかご存知ですよね。
念のため解りやすようにご紹介いたします。


車載工具のジャッキにはこのように図が書いてあることが多いです。
図を見て車両の何処に接地すればいいかよく見ておいてください。
もし書いてない場合は、車両の取説を見て頂く事をお勧めします。

 


これは運転席側のフロント部分です。
タイヤより少しリア付近にジャッキアップポイントのミミがあります。
ここにジャッキを掛けるようにしてください。
この部分はボディの荷重をかけても大丈夫なように丈夫に作られています。

それ以外には絶対にジャッキを掛けないでください!
ボディが凹んだり曲がったりします。


運転席側のリアにある部分です。
ジャッキアップポイントの部分は鉄板が強く作ってあります。

車載工具はもちろんの事、工場などで使用しているガレージジャッキでもここにかけるようにしてください。

 

ガレージジャッキで車体を浮かす場合に、車のセンターで持ち上げる場合があります。

これはリア部分を持ち上げて左右のリアタイヤを持ち上げる方法です。
自動車屋さんが良く使用する方法です。

写真のようにけん引フックがある車両であれば強度も有りこの様に上げれるのですが、最近の車はリアにけん引フックのない車両もあります。
その場合はリア部分をセンターで持ち上げる事は出来ません。

車の構造を理解もせずに曖昧にジャッキを掛けてしまうと、ボディーが凹んたり破損したりします。
特に輸入車などはけん引フックが下には付いていません。

フロント部分もセンターで持ち上げる行為は、車両の知識のある方のみにしてください。
様々な車両がありますので、その車のボディ構造を把握してから持ち上げるようにしてください。

もし、持ち上げてはいけない場所を、ジャッキで持ち上げてしまいボディを曲げてしまった場合、査定の時に事故車扱いとなる可能性があります。
フロント部分でも、リア部分でも下からの突き上げとして場所(骨格部分)によっては、査定時に事故車としての判断をされる場合があります。

2019年になってから、自動車業界のオークション規定の査定が厳しくなってきています。
ボディの場所によっては、事故車として取り扱う場合がありますので気を付けてください。

ご自分でガレージジャッキを使用する場合は、くれぐれも気を付けてください。

 

ホイールナットの締めすぎに注意!

冒頭にも書いたように、誤った方法でナットやボルトを締めてしまうと故障の原因となります。
タイヤ交換費用を浮かそうとして自分で交換してやらかしてしまい、後で痛い出費となるのは嫌ですよね。

正しい方法と、確実な道具を使用する事で失敗は防げます。

 


写真のように、工具を足で回す行為。

緩める場合でも、締める場合でも足ではやってはいけません!
足で締め付けると規定値以上に強く締まってしまう場合があります。

なぜか、
工具というものはテコの原理を利用しています。
(支点・力点・作用点)
正しい角度で正しく回さないと部品に無理な負荷がかかります。

足でレンチを回そうとすると、支点があいまいになり力点と作用点だけとなって斜めに力が加わります。

締め付ける場合、両手を使う事で左手が支点、右手が力点、ナット(ボルト)が作用点となります。

次のような工具がお勧めです。

クロスレンチ(十字レンチ)です!
これであれば両手でシッカリと締めたり、緩めたりできます。
実際に私どもも屋外で使用する場合はこれを使っています。

ソケットレンチのハンドルで作業をするよりもはるかに早く回せます。

 


右が車両搭載の車載工具です。
左がクロスレンチです。

 

Amazon クロスレンチのページへ

有名メーカーの工具でも3,000~4,000円で販売されていますので持っておいて損はないはずです。

 

 

そしてナット・ボルトの締付は規定値で締め付ける事が重要です。
自動車のプロは曖昧な締付はしません。

慣れた整備士でも規定値で締め付けられるトルクレンチを使用しています。
確実に同じ強さで締め付けることが出来る工具です。


これがトルクレンチです。
イニシャルを変える事で締付トルク(強さ)を変更できます。

国産車であれば大体同じくらいの締付トルクですが、輸入車などのホイールボルトの場合は少し違う車種もあります。
このように車種によって国産車でも輸入車でも違いがあるので、その車に合った規定値で締め付けるようにしてください。

自分の乗っている車がどれだけの力で締め付ければいいか、知っている方は少ないと思いますので心配な方は行きつけの自動車屋さんに相談してみはいかがでしょうか。

トルクレンチを個人で購入するのもいいですが、安い工具ではない事を知っておいてください。
私たちプロが使用しているホイールナット用トルクレンチは、約1万円~3万円位する工具です。

タイヤ交換をするたびに使用しますが、個人の方が購入するには使用頻度が少ないので買うべきかどうかは皆様にお任せします。

もしトルクレンチを購入されるのであれば金額だけで購入しない方が良いかと思います。
安い商品はそれなりのものです。最初はきちっと能力を発揮するかもしれませんが、使用するにつれて締付の数値が狂ってくる物もあります。
有名メーカーのシッカリとした工具を購入される事をお勧めします。

今回はハンド工具をご紹介しましたが、タイヤ交換をする場合に電動工具を使用することもあるのです。
手で緩めたり締めたりするよりも格段に作業効率が良くなります。
また機会があればご紹介したいと思います。

 

 

 

まとめ

自分でタイヤ交換をする場合は、正しい知識と正しい交換方法を知っておく必要があります。

タイヤは車を支えている大事な部分です。
車だけではありません、同乗する方全員の命を支えています。

間違った取付方をして、もしタイヤが走行中に外れてしまったとしたら、大変危険な事になるのは想像できると思います。
正しい方法で取付け、取り外しをするようにしましょう。

自分でタイヤを付替えて、ホイールナットの締付トルクに自信のない方は、必ず自動車の専門店で見てもらうようにしてください。
それと同時にタイヤの空気圧もチェックしてもらっておいてください。

 

近くの自動車屋さんを良く知らない場合はネットなどで検索してみてください。

 

2件のコメント

すみませんが、アドバイスお願いいたします。スペーサーを取り付け時にその箱に160kトルクで締める様記載がありましたので、その様にしましたが、不安でネットで調べまして車の取説通りに(120k)直そうとしましたが、ロックナットがなめてしまった様ではずれなくなりました。ディーラに持って行こうと思いましたが、諸般の事情で週末迄行けません。急いだ方が良いか、その期間待ってても大丈夫か、お教えくたさい。

ノリ様 コメントありがとうございました。
ホイールナットの締め付けが強すぎてナットをなめてしまったのですね。
なめてしまったロックナットですと緩めるのは少々困難かと思います。
カーディーラーさんに修理持込された方がよいかと思います。
今現在、通常より強く締まっていますが、ハブボルトが伸びてしまうほどでなければ走行に支障はないと思います。
普通車でハブボルトが5本や6本のタイプの車両であればネジの太さもあると思うので、160N・mのトルクなら耐えれると思いますが私では大丈夫ですとは言い切れません。
もし軽自動車であれば早めに修理してください。ネジが伸びている可能性があります。

「160K」というのはもしかして、160N・m(ニュートン)ではなかったでしょうか?
160N・mで締め付けた場合、約19.2Kでしまっている事になります。
国産車であれば、通常「100~120N・m」(10.2K~12.2K)のトルクで締め付けます。

またわからない事があれば何時でもご相談ください。
ありがとうございました。

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40代のおっとり自動車セールスマンです。 自動車業界ではそれなりに一通り経験してきており、整備から販売までさせて頂いております。 整備士の資格や自動車査定士の資格もあり、中古車などの情報も得意分野であります。

自動車に関する私の知識や、お得な情報・損をしないカーライフなどを皆様にお伝えできればと思いこのブログを書いています。 皆様も知っている情報が多いかと思いますが、見て頂いた方に喜んで頂けるサイトを目指しています。

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