冠水路を自動車で走行すると車が錆びるだけではなく、その他さまざまな異音や故障の原因となります。
走行後の時には異常は無くても、数日~数ヶ月経つと車に異常が発生するかもしれません。
最近では報道のニュースなどで良く見かける光景になっていますが、ゲリラ豪雨や水害などで道路が冠水してしまい、その中をクルマが走行している状況を見られた事があると思います。
あのような状況下で車を走行させる事は、車にとって過酷な状態になり故障の原因にもなります。
本来の自動車の使用方法ではないので、故障が起きてもおかしくないという事です。
泥水や冠水路を走行してしまった場合にどのような故障になるのか、これからお話したいと思います。
冠水路や泥水の中を走行すると車はどうなるのか
災害時やゲリラ豪雨などで、どうしても冠水路を走行しなくてはならない事はあるかもしれませんが、出来ることであれば走行しないでいただきたい。
もし泥水などの冠水路を走行してしまったとしたら、どのような故障が起こるのでしょうか?
色々と考えられますが、思いついた一部をご紹介します。
〇 足回り部品で、ドラムブレーキやハブベアリングなどの錆つき異音
〇 エンジンルーム内の部品で、オルタネータ(発電機)やファンベルト等のプーリー・その他電気部品などに水侵入で異音や作動不良に
〇 エアクリーナーBOX等から水侵入でエンジン不調など
このように自動車は水が侵入すると不具合や異音などが出て故障してしまいます。
走行直後から時間がたって乾燥して大丈夫だと思ってもいても、数日してから不具合が出てくることが多くあります。
車はどこまで水に浸かっても大丈夫なのか?
自動車はどの位まで水に浸かっても大丈夫なのか。
足回りやシャシ回りは水に濡れても大丈夫に作られていますが、水に浸ってもいいようには作られていません。
「車内に水が入らなければ大丈夫だろ」という事でもないのです。
水に浸かっても問題ないと思われる高さは、約15cm程度までです。
それ以上になりますと、ブレーキや車軸に水が侵入して錆や異音の原因となり故障してしまう事にもなります。
車種によっても高さは違いますが、ブレーキや車軸が水に浸からない程度までが限界だと思ってください。(ローダウン車や車高の低い車は限界が低くなります)
自動車はシャシフロア以上の水深では走行できないと思ってください。
車が浮いてしまいタイヤが接地できないので前に進めません。
危険ですので深みに入るのはやめましょう。
PRスポンサーリンク
水害で車が浸かって室内までは入っていないけど使用できる?
室内までは水が入っていないから大丈夫という事はありません。
下回り(シャシ)の部品が水に浸かるという事は、自動車の設計上では想定されていないのでどこかしらに水が侵入して悪影響を及ぼします。
例えば、マフラー内に入ったり、各ベアリング内に入って錆びたり、ハイブリッド車の高電圧配線に水が入ったりすると危険ですよね。
もしこのような水の浸かり方をされたクルマは、必ず自動車販売店で点検を行ってください。
「走行できているから大丈夫」とは思わないでください。
自動車は水の中を走行するようには作られていないので、出来る事であればそのような場所には入らないようにしてください。
走行中に下回りからの異音とサビ
災害時やゲリラ豪雨の時に、冠水路を走行した場合に起こる可能性があるのですが、自動車のハブベアリングから異音が発生する場合があります。
水害などで道路にあふれた泥水の中を走行すると、通常入らないところにも泥水が侵入して部品が錆びたり、泥や砂などで金属が摩耗して故障の原因になることがあります。
もちろん冠水路だけではありません。冬シーズンの凍結防止剤での塩害による錆などで異音や故障も起こります。
ハブベアリングから異音がする車両の部品交換内容
この車両は凍結防止剤などで錆が酷くなり、その状態で冠水路を走行してしまった事でベアリング内に水が侵入して錆つき異音が発生しました。
経年変化で弱っている部分に水を侵入させてしまったことが原因です。
シャシのリンク回りは錆が酷くなっています。
ブレーキローターとバックプレートは新品に交換後の写真です。
ハブベアリングが入っているナックルアームで、ドライブシャフトが見えています。
全体的に錆が酷いですね。
このような状態であればベアリング内に水が侵入してしまうのはご理解できると思います。
ベアリングを抜き出したところです。
錆と汚れで汚くなっていますね。
錆でボールや軸がすり減ってガタができて異音が発生します。
新品のベアリングを抜き替えて、ブレーキローター・バックプレートも新品にして組み付け完了です。
これで快適に走行することが出来ました。
下回りのサビの多くは、冬シーズンの凍結防止剤が車の錆を進行させてしまいます。
凍結防止剤は塩化ナトリウムで単純に「塩」です。
しかも純度の高い岩塩を道路に撒いているのですから、塩水の上を車は走行していることになります。
塩水ですから当然金属は錆びてしまいますよね。
自動車の錆についてはこちらの記事でも書いていますのでご覧ください。
PRスポンサーリンク
水害で車内に水が入った車は使用できるのか?
水害などで自動車の車内まで水が入ってしまった場合は、ハッキリ言って使用できないと思ってください。
少しぐらいなら乾かせば大丈夫だろうとは思わないでください。
クルマの室内は電気配線が多くあり、電気部品は水には大変弱いものなのです。
乾いたからと言って大丈夫ではないのです。
もし修理して乗るのであれば、電気配線と電気部品はすべて交換するつもりで修理してください。
少しでも水が浸っていたモノがあるとすれば、それは故障していると思った方がいいでしょう。
そのまま使用し続けると思わぬトラブルで不具合が出たり、最悪はショートして火災が発生するかもしれません。
冠水車を修理して乗るのは私的にはお勧めできません。
ではどの程度までなら水に浸かっても使用できるのでしょうか?
〇 車内には水が入っていないがフロア付近まで浸かった
〇 リア周りが浸かったがエンジンルームは浸かっていない
○ 左右のどちらかだけ浸かってしまった
とさまざまな水没がありますが、どのような浸かり方でも何かしら故障が出ると思ってください。
そして水が侵入してはいけない部品はすべて交換が必要です。
特に電気系統は水には弱いのです。
さらにハイブリッド車や電気自動車では高電圧を使用していますので、故障どころか感電するかもしれないので危険です。
水没車は修理をしたとしても何かしら不具合や故障が起こる可能性が高いので、直せば乗れますよとは言えないのです。
そして室内まで水没した車両の使用は論外ですし、まず車内の匂いが酷いので乗れたもんじゃないですよ。
水没してしまったらどうしたらいいの?
もし災害やゲリラ豪雨などで水没してしまったらどうしたらいいのでしょうか?
室内まで水が侵入している車両は、
「絶対にエンジンをかけようとしたり、電源を入れたりしないでください。」
ハイブリッド車や電気自動車では感電の恐れがあり、身の危険が及ぶかもしれません。
水没した場合は専門業者か日本自動車連盟(JAF)に連絡してください!
まずは自動車保険会社に連絡して相談される事をお勧めします。
自動車保険には自動車の搬送の保険もあると思いますので、保険をご利用されるのが良いかと思います。もちろん一般車両保険の保証も加入されておく事をお勧めします。
そして日本自動車連盟(JAF)にも加入していると更に安心です。
PRスポンサーリンク
まとめ
〇 一般の乗用車は冠水路を走行するようには出来ていません。
〇 自動車では15cm以上の水の中を走行しないようにしましょう。
もし、冠水路や泥水の中を走行してしまった場合は、自動車の点検をしてもらってください。
〇 経年変化で劣化した部品に水が入ると錆が促進されたり、砂や泥で金属が摩耗して故障の原因となります。
〇 もし万が一、自動車が水没してしまったら、エンジン及び電源は入れずに自動車保険会社に連絡するか日本自動車連盟(JAF)に連絡して搬送してもらいましょう。
〇 自動車保険で一般車両保険に加入されておく事をお勧めします。
〇 自分の自動車保険の内容を見直しておきましょう。各保険会社により違いもありますので比較してみる事も必要です。
Photo/Illustration: 無料写真素材なら【写真AC】
Photo: フレディ(ブログ運営者)
コメントを残す