「アッ。やってしまった! ボルトをナメテしまった!」
楽をしようとして、間違った使用方法で電動工具を使い、結果高い出費となったユーザーの事例を今回はご紹介したいと思います。
自分でタイヤ交換をする時の電動インパクトレンチは手軽で早く便利ですが、使い方次第では部品を壊してしまう恐れがあります。
車載工具ジャッキでの車体を持ち上げるのに電動インパクトを使ったりとか、電動工具で目一杯ホイールボルトやナットを締め付けいたりなど、皆様にも心当たりがありませんか?
危険ですし、締め過ぎでボルトが伸びてしまいますよ。
それでは、タイヤ交換の費用を浮かせようとして、自分でタイヤ交換を行い失敗して、結果高額修理費用を支払う事になってしまった事例をご紹介したいと思います。
電動インパクトレンチでの失敗事例
ある日の事です、お客様から連絡が入りました、「自分でタイヤ交換をした次の日にクルマから異音が出るのです」。
駆けつけてみると、お客様が車をジャッキアップしてタイヤを外していました。
話を聞くと前日に自分で冬用タイヤに交換したらしいのですが、左のリアタイヤの取付けの時に横着な方法でナットを締め付けたという事でした。
どの様な状態になっていたかと言うと、ハブボルトが5本ともナメてしまってネジ山がボロボロになっていました。
これではタイヤ交換どころか、タイヤを取付け出来ないのでクルマを動かすことも出来ない状態でした。
この場所では修理できないので、まずは車を移動できるように応急処置を考えました。
がしかし、タイヤを取付け出来ないとレッカー車にも載せられないのでどうしたものか考えていました。
まずは何とかボルトを修復して2~3本でもいいので、応急用タイヤに締め付け出来る様にネジ山を直すことにしました。
ネジピッチに合わせたダイスでネジ山を修復し、何とか2本締め付けできるようになり車両を動かせるようになりました。
この後レッカー車に車両を積み込んで、整備工場まで運ぶことが出来ました。
何とか2本のボルトを修正して締め付ける事が出来た応急用ホイールと、整備工場で取り外したリアハブです。
なぜハブボルトを5本もダメにしたのか
ユーザー様が自分でタイヤ交換をした時に、最後に締め付けた左リアタイヤだけ横着をしてナットを締めたらしいのです。
それは、電動インパクトレンチを使用してナットを締め付けたそうなのですが、最初の3本までタイヤのホイールナットは手で絞めてからインパクトで増し締めしたそうなのですが、最後のタイヤのホイールナットは、インパクトレンチのソケットにナットを入れた状態で直接ハブボルトに締め付けたそうです。
どういう事かと言うと、ナットが斜めに入りネジ山を潰しながら電動インパクトレンチでガリガリ締め付けていったようです。
車両を持ち帰り整備工場で左リアハブを取り外しました。
この車両のリアハブは意外と簡単に取り外しができるので楽でしたが、他の車両であればハブベアリングを抜かないと交換できないタイプが多く手間がかかり交換工賃も高くつきます。
ボルトもネジ山がボロボロですが、ナットの方もネジ山はボロボロになってしまいます。
クロスレンチ(十字レンチ)など手で締め付ける工具で作業していれば、締付時に違和感を感じてこのような事にはならなかったはずです。
電動インパクトレンチで締め付けているので、異常な違和感を感じにくくなってしまってネジ山を壊しながら回っている事に気づかなかったのです。
電動インパクトレンチは、回転音とインパクトの叩く打音の2種類の音が出ると思うのですが、最初からインパクトの打音がしていた事に気づかなかったのでこのような事になってしまったのです。
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パワーツールの使用は緩める事をメインに!
パワーツールって何でしょうか。
電動工具やエアー工具などになります。
一般家庭でよく使われているのが電動工具で、手軽に使用できるバッテリータイプの物や100V電源を使用したものなどがあります。
エアーツールは、コンプレッサーで圧縮された空気を利用した圧縮空気で稼働する工具で、主に整備工場などで使用されています。
タイヤのホイールボルトやナットを締めたり緩めたりする工具でインパクトレンチがあります。これは電動とエアーの両方のタイプがあります。
一般の方からプロの整備士まで使用する工具ですが、使い方を間違うと今回のようにボルトを潰してしまう事にもなります。
プロの整備士は経験から悪い使い方をすればどの様になるかは十分わかっていると思いますが、たまにしか使用しない一般の方は正しい使用方法を守れていない場合があるかも知れません。
慣れていない方は、正しい使用方法をよく覚えてから使用される事をお勧めします。
緩める場合であれば電動インパクトレンチの使用で失敗する事は少ないと思いますが、締付を行う場合は、ボルトやナットを手で回して締めてからインパクトレンチを使用してください。
正しい方法で使用する事でトラブルは避けることが出来ます。
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ボルト・ナットを締める時は手を使うこと
タイヤ交換の正しい方法とはどのような事でしょうか。
ジャッキアップしてホイールナットを緩めてタイヤを外して・・・・・
と言うのは他のページで紹介していますので、下のアイコンをクリックしてご覧ください。
ホイールナット・ボルトの最初の締付は必ず手で絞めてください。
誤った締め方をするとネジ山を壊してしまう原因になります。
誤ったナットの締付ってどのような事なのでしょうか?
今回の例を踏まえて画像で再現してみました。
再現画像ですが、このようにソケットにナットを入れて直接ボルトへ挿入しようとしています。
写真はエアーツールですが電動でも同じです。
このままボルトへねじ込んでしまうと、大体が斜めに入ってしまい最初からネジ山を潰していくとこになります。
インパクトでカンカンと叩き回していくので、使っている人は締まっていってるのだなと勘違いして締めてしまいます。
絶対にやってはいけないやり方です!
これはタイヤ交換に限らず、全てのボルト・ナットに言える事なのです。
必ず最初は手で数回転回してから専門工具を使用するようにしましょう。
そしてホイールナットの締付トルクも規定値で締め付けるようにしましょう。
ご自分で作業されるのであれば、トルクレンチも必要工具となります。
もしお持ちでない場合は、自分でタイヤ交換後に自動車整備工場で締め付け直してもらった方が良いかと思います。
このようなトルクレンチで車両に合った規定値でナットやボルトを締め付けます。
写真は最近買換えた、KTCのCMPC2004トルクレンチです。
ボルト1本でも潰すと修理代が高くつく
毎年冬シーズンになると数件ハブボルトのトラブルがあります。
今回のように自分でタイヤ交換してボルト・ナットを潰してしまった事例や、ボルト・ナットを締め過ぎてボルトが伸びてしまった事例などがあります。
このハブボルトは1本数百円程度の部品ですが、交換となると車種によっては交換工賃が思ったより高くなることがあります。交換総額で1~3万円程度になります。
それはどのような事なことなのか?
今回のようにハブASSY(アッセンブリー)で交換できれば工賃としてはあまり高額ではないのですが、ボルトを交換するのにハブベアリングを抜かなければならない車種もあるのです。
ベアリングを抜くので当然に新品のベアリングに交換となりますし、抜く作業もプレス機を使用したりするので少々大掛かりとなります。
たかが数百円の部品を交換するのに数万円の工賃やその他追加部品が必要となるのです。
自分でタイヤ交換をして交換代金を浮かせようとして、失敗して高額な修理代金を払う羽目になってしまう事となります。
今回の場合はボルトを5本も損傷しているので、ハブベアリングASSY交換での作業となり、修理額が約38,000円になりました。
タイヤ交換費用を浮かせようと自分で作業したことで、失敗をして結局高額の修理代となりました。
まとめ
今回は実際にあったお客様の失敗例をご紹介しました。
自分でタイヤ交換をされる方には特に見て頂きたいと思いこの記事を書きました。
「タイヤ交換くらい、いつもやっている事だし自分のやり方で間違っていないよ」と思っている方、正しい方法を見ておいた方が良いかもしれませんよ。
横着をして手を抜いたりして、後で痛い目に合わないようにしてくださいね。
当たり前の事ですが、これだけは最低限守ってくださいね。
皆様のご意見やご質問、ご相談などコメントでお寄せ下さい。
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私でお応え出来る事であれば何でもお答えしますので、
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